相続手続きではどうして出生からの戸籍が必要になるの?

相続の手続きでは被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍が求められます。役所で死亡記載のある戸籍のみを取得して銀行などの金融機関や不動産の登記手続きをしようとしても死亡記載のある戸籍のみでは相続の手続きはすることができません。
どうして死亡記載のある戸籍だけでは足りずに出生からの戸籍も必要になるのでしょうか。

 遺産分割では相続人全員を確定して全員の合意を取ることが必要

相続が発生すると遺言書が無い場合は被相続人の遺産は法定相続人に相続されます。そして相続人が全員の合意で遺産分割協議をすることにより誰がどの遺産を相続するかを決めます。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要ですので、相続人が1人でも欠けていると遺産分割協議は効力を生じないこととなります。そのため、遺産分割協議をする前提として誰が相続人となっているのかを一人残らず確定させておく必要があるのです。

 死亡記載のある除籍謄本だけではなぜ足りない?

戸籍で相続人全員を確定させる必要があることは分かるとしてもなぜ死亡記載のある除籍謄本だけでは足りないのでしょうか。これは戸籍の仕組みに原因があります。

 戸籍は改製される

戸籍の様式が法令などによって改められた場合、前の戸籍を新しい様式に改めるための改製が行われます。これを戸籍の改製と言います。
戸籍が改製されると、死亡、婚姻、他の養子になった場合等の戸籍で除かれた者の戸籍は新しい戸籍には移記されません。そのため、戸籍に記載されていた相続人が婚姻等により除籍された後に戸籍の改製が行われた場合、新しい戸籍には除籍された相続人が記載されないことになります。そうなると新しい戸籍では除籍された被相続人の相続人が確認できず、改製される前の戸籍を確認しなければ除籍された相続人が確認できないということになります。
例えば被相続人である父Aの相続人が妻Bと長男C、長女Dだった場合で長女Dが婚姻により除籍された後に戸籍の改製が行われた場合、改製後の新しい戸籍には被相続人の死亡及び妻Bと長男Cの存在は確認できますが、改製前に婚姻で除籍された長女Dの存在は確認できません。長女Dの存在を確認するためには改製前の戸籍である改製原戸籍を取得する必要があります。改製原戸籍を取得することにより長女Dの存在が戸籍上も確認ができるのです。

 遺産分割の前には必ず相続人の確定を行いましょう!

遺産分割協議を成立させるためには相続人全員の合意が必須です。せっかく話し合いをして遺産分割協議がまとまって遺産分割協議書を作成したとしても戸籍を調べて相続人が他にもいることが分かった場合、その遺産分割協議書は効力のないものとなります。効力のないものとなりますので、その遺産分割協議書で不動産の相続登記や預貯金等の金融資産の相続手続きを行うこともできません。
そのようなことにならないためにも、遺産分割協議をする前に戸籍を取得して相続人を確定させておくことがとても重要となります。


令和3年11月16日掲載

※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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