遺産分割協議後に自筆証書遺言書が発見された場合どうなる?①

 今回のコラムでは遺産分割協議後に自筆証書遺言が発見された場合について解説します。

 遺産分割協議後に遺言書が発見された!?

被相続人(亡くなられた方)の遺産について相続人全員で話し合って遺産分割協議がまとまったと思ったら遺言書があることが判明。しかも遺言書の内容が遺産分割協議で決めた内容とは全然違っている。このような場合、話し合ってもう決めてしまった遺産の相続はどうなるのでしょうか?

 勘違いだから遺産分割協議は無効になる?

まず考えられるは遺産分割協議は遺言書の存在を知らないでしたもので勘違いなので無効になるかどうかです。勘違いだから無効だと主張する場合、法律上はその法律行為(契約をした等)が要素の錯誤に当たるかどうかが判断基準となります。要素の錯誤とは契約の重要な部分に関する錯誤(勘違い)のことです。そのため、無効になるかどうかは遺言書の存在を知らなかったことがこの要素の錯誤にあたるのかどうかで判断されることになります。要素の錯誤にあたれば無効になりますし、要素の錯誤にはあたらなければ無効にはならないということになります。

一律に無効になるということではなく、この要素の錯誤にあたるか否かを基準に無効になるかどうかが決まるということになります。

 最高裁判所で無効になったケース

後日遺言書が発見された場合に遺産分割協議が無効になるかどうかが判断された最高裁判所のケースでは、特定の土地につきおおよその位置と面積を示して分割した上で、それぞれの土地についてどの相続人に相続させるか分割方法を定めた遺言が存在したのに、相続人全員が当該遺言の存在を知らず、相続人の1人が土地全部を相続する旨の遺産分割協議がなされた場合において、もし相続人らが当該遺言の存在を知っていれば、前記遺産分割協議の意思表示をしなかった蓋然性が極めて高いとして、前記遺産分割協議が要素の錯誤により無効である可能性を示唆し、最高裁判所は錯誤無効を認めなかった原審の判断を破棄して、差し戻しています(最判平51216判時1489114(上告審)、高松高裁平2927金判94519(原審))。

次回に続きます。

 

令和3年8月14日掲載

※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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