遺産分割協議をした後に自筆証書遺言が見つかった場合どうなる!?

 相続人全員の合意で遺産分割協議が成立した後に遺産分割協議で成立した内容と全く違う内容の自筆証書があることが発覚した場合、すでに成立している遺産分割協議はどうなるのでしょうか。今回のコラムでは遺産分割協議をした後に自筆証書遺言が見つかった場合の法律関係について解説します。

 要素の錯誤に当たるかで判断される

遺産分割協議が成立した後に自筆証書遺言が見つかった場合、遺言書で遺産をもらうことになっていた相続人としては勘違いだったとしてやり直しを主張したいところです。このように勘違いでやり直しを主張する場合、法律上は「要素の錯誤」に当たるかどうかで無効になるかが判断されることになります。それでは要素の錯誤に当たるかはどのように判断されるのでしょうか。

この点について最高裁では、特定の土地につきおおよその位置と面積を示して分割した上で、それぞれの土地についてどの相続人に相続させるか分割方法を定めた遺言が存在したのに、相続人全員が当該遺言の存在を知らず、相続人の1人が土地全部を相続する旨の遺産分割協議がなされた場合において、もし相続人らが当該遺言の存在を知っていれば、前記遺産分割協議の意思表示をしなかった蓋然性が極めて高いとして、前記遺産分割協議が要素の錯誤により無効である可能性を示唆して、原審の判断を破棄し差戻しをしています(最判平51216判時1489114(上告審)、高松高判平2927金判94519(原審)。

どういうことかと言うと、遺言の存在を分からずに遺産分割協議が成立した場合、全てが意思表示に要素の錯誤があり無効になるとまでは言えませんが、遺言の内容が遺産分割の方法についてある程度明確に定められていたなど、遺言の存在と内容を知っていたら、そのような遺産分割協議での意思表示をしなかったといえるような場合はその意思表示は要素の錯誤により無効であると判断されるということです。一律に無効になるというわけではなく発見された遺言書と遺産分割協議書の内容と相続人が遺言書の存在を知っていればその内容の遺産分割はしなかったかなどが考慮されて無効になるかどうかが判断されることになります。

 

令和3年7月12日掲載

※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。

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