相続開始後に発生した地代や家賃は相続の対象になる?①
今回のコラムでは相続開始後に発生した地代や家賃は相続の対象となるかについて解説します。
地代や家賃の法律上の扱い
地代や家賃が相続の対象になるかについてのお話をする前に、地代や家賃の法律上の扱いがどうなっているのかについてまずは民法の「果実」という概念についてご説明します。
「果実」とは
民法には「果実」という概念があり、「果実」とは物から利益が出る場合のその利益を言います。「果実」は更に「天然果実」と「法定果実」に分かれます。「天然果実」とは「物の用法に従って収取される産出物」を言い、りんごの樹から取れるリンゴなどがそれにあたります。「法定果実」とは「物の使用の対価として収受される金銭その他の物」をいい、地代や家賃などがそれにあたります。地代や家賃は民法上「法定果実」ということになります。
【民法】
第88条(天然果実及び法定果実)
1 物の用法に従い収受する産出物を天然果実とする。
2 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。
地代や家賃の権利は誰に帰属するか
上記の通り地代や家賃は民法上は「法定果実」になります。「法定果実」は民法第89条2項により、これを収取する権利の存続期間に応じて、権利者が日割計算により取得することになるとされています。一般的には所有者が権利者となりますので、土地や建物の所有者や共有者が地代や家賃を取得することになります。
日割計算によりというのは、月の途中で所有者が変わった場合、日割りで計算しますよという意味です。例えば1月15日に家を売った場合、1月の家賃は旧所有者と新所有者で日割りで計算してそれぞれが取得することになります。
【民法】
第89条(果実の帰属)
1 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
2 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。
相続開始後に発生した地代や家賃はどのように取得者を決めるのでしょうか。次回のコラムで解説します。
令和3年1月9日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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