相続手続きの流れと期限を徹底解説|川崎・横浜で相続に強い司法書士が解説
相続は、多くの方にとって一生に何度も経験するものではありません。いざ大切なご家族がお亡くなりになったとき、何をいつまでにすれば良いのか分からず、不安なまま時間だけが過ぎてしまう方が少なくありません。
しかし、実際には相続手続きには期限が決められているものが多く、対応が遅れると「負債や不要な不動産の相続」「過料」「延滞税」「加算税」といったデメリットやペナルティを受ける可能性もあります。また、不動産の名義変更や銀行口座の解約を放置すると、将来の遺産分割や不動産売却ができなくなるリスクもあります。
本記事では、相続に強い司法書士・行政書士が「相続開始から完了までの流れ」を、期限ごとに分かりやすく解説します。特に川崎・横浜エリアにお住まいの方にとって実務的に役立つ内容をまとめました。
1. 相続手続きは思っているより大変
相続というと財産を受け継ぐというイメージを持つ方が多いですが、実際には
- 財産だけでなく負債(借金)も相続の対象
- 名義変更の手続きが多岐にわたる(不動産・預金・株式・自動車など)
- 相続税の申告が必要になる場合がある
など、想像以上にやることは多く煩雑です。しかも、すべてに期限があるため、早めの準備と正確な判断が欠かせません。
2. 相続開始日と手続きスタートのタイミング
相続は被相続人(亡くなられた方)が「死亡した日」から始まります。この日が相続開始日とされ、すべての手続きの期限がここからカウントされます。
例えば、相続税申告の期限は「相続開始を知った日から10か月以内」です。つまり、死亡日=手続きのタイムリミットが動き出す日ということです。
3. 相続発生直後(7~14日以内)に必要な手続き
まずはお葬式や役所への届出など、早急に対応すべき手続きがあります。
- 死亡届の提出(7日以内)
→市区町村役場に提出し、火葬許可証を取得します。 - 健康保険証・介護保険証の返却)
→国民健康保険や後期高齢者医療制度、介護保険の資格喪失手続きを行います。 - 年金受給停止の手続き(10日~14日以内))
→日本年金機構または共済組合へ届け出ます。未支給年金の請求も可能です。 - 世帯主変更届)
→役所に届け出る必要があります。
また、銀行口座は死亡届が金融機関に伝わると凍結されます。公共料金やクレジットカードの引落しができなくなることもあるため、注意が必要です。
4. 相続開始から3か月以内にすべきこと
ここからは、財産や負債の確認、相続人の調査など、本格的な相続準備が始まります。
- 遺言書の確認
公証役場や法務局、自宅を探し、遺言があるかどうかを必ず確認します。 - 相続人調査
被相続人の「出生から死亡までの戸籍」を収集し、誰が相続人かを確定します。川崎市や横浜市では区役所の戸籍課で請求可能です。 - 財産調査
預金、不動産、株式、自動車など。近年は電子マネーや暗号資産といったデジタル資産も増えており、見落とさないよう注意が必要です。 - 相続放棄・限定承認の申立(3か月以内)
借金が多い場合は相続放棄を検討します。家庭裁判所で申立が可能です。
5. 相続開始から4か月以内にすべきこと
被相続人が生前に収入を得ていた場合には、税務署への申告が必要です。
- 準確定申告(4か月以内)
事業収入、不動産収入、年金収入などがあった場合に必要。専門的な知識を要するため、事前に税理士に相談することが望ましいです。
6. 相続開始から10か月以内にすべきこと(相続税申告が必要な場合)
相続の中心となる手続きは、この10か月の間に行います。
- 遺産分割協議の実施
相続人全員で話し合い、財産の分け方を決めます。
→ 書面化した「遺産分割協議書」が必要です。 - 相続登記・預貯金の名義変更
不動産の名義変更(相続登記)は2024年から義務化され、放置すると過料(10万円以下)が科されます。 - 相続税申告・納税
課税財産額が基礎控除を超える場合には必須。期限を過ぎると加算税がかかるため要注意です。
7. 相続開始から1年以内にすべきこと
- 遺留分侵害額請求(1年以内)
遺言書により不公平に遺産を分けられた場合に、他の相続人へ金銭請求できる制度です。
8. 2年~5年以内にできること
相続に関連する給付金や保険の請求は、意外と期限が長めに設定されています。
- 葬祭費・埋葬料の申請(2年以内)
- 高額療養費の払い戻し(2年以内)
- 生命保険金の請求(3年以内)
- 遺族年金・未支給年金の請求(5年以内)
期限を逃すと権利が消えてしまうため、忘れないようにしましょう。
9. 相続手続きをしないとどうなる?
相続手続きを放置すると、次のような大きな問題が発生します。
- 負債や相続したくない遠方などの不動産を知らないうちに相続してしまう
- 税務署から延滞税・加算税を課される
- 優遇される税金の特例などが使えなくなり税金が高くなる
- 不動産の売却・活用ができなくなる
- 他の相続人とのトラブルが深刻化する
特に不動産の相続登記を怠ると、将来売却や担保設定ができなくなり、相続人が増え続けて「共有者が多数で話し合いが不可能」または手続き負担がとても重くなるという事態になることもあります。
10. 相続の専門家に相談するメリット
相続手続きは幅広く、すべてを自分で行うのは現実的ではありません。
- 司法書士:相続登記、預貯金解約サポート、相続不動産の売却サポート、相続放棄、法定相続情報一覧図の作成
- 税理士:相続税申告、準確定申告
- 弁護士:相続トラブル・調停・訴訟対応
- 行政書士:遺産分割協議書の作成
ただし、同じ士業でも「相続を主業務としているかどうか」で対応力に大きな差が出ます。例えば同じ司法書士でも、不動産登記をメインにしている事務所、会社関係をメインにしている事務所、相続案件を多数扱っている事務所とでは、内容のチェック力、適切な手続きの提案力や他士業との連携力がまったく違います。
相続は一度きりでやり直しができない手続きです。したがって「士業の肩書き」だけで選ぶのではなく、
- 相続に関する実績が豊富か
- 相続手続きを専門とし総合的にサポートしているか
- 地域の税理士・弁護士・不動産会社などと連携できる体制があるか
を基準に専門家を選ぶことが、安心と円滑な手続きにつながります。
まとめ
- 相続手続きは「期限」が最大のポイント。
- 死亡直後から10か月以内に集中して手続きが必要。
- 不動産登記義務化により、放置すると過料のリスクがある。
- 専門家に早めに相談することで、手続きがスムーズに進み、相続人同士のトラブルも予防できる。
川崎・横浜エリアで相続に関するお悩みをお持ちの方は、司法書士にぜひご相談ください。
令和7年8月18日掲載
※この記事は掲載時点での法律を前提に作成されております。
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